では、トップダウンのジレンマとして挙げた4点のうち、

残りの2点についてお話しします。

③ 今の仕事で精一杯(余計な仕事は増やさないで)という現場。

④ 選定や運用管理(セキュリティ対策含む)ができる人材がいない。

「トップダウンのジレンマ(現場との壁)

③ 今の仕事で精一杯(余計な仕事は増やさないで)という現場。

「ただでさえ人手が足りないのに、これ以上余計な仕事を増やさないで」

と言われる方(部署)が多くあります。

確かに、現在の業務に加えて電子カルテの操作をすることは大きな

負担になるでしょうが、現業に隠れている「余計な仕事」に

気付いていないかもしれません。

 =壁を超えるヒント=

先ほども述べましたが、現業での余計(と思われる)な仕事に関して、

電子カルテの導入前後の時間の変化を予測してみます。

代表的な例としては、「転記」「他部署への確認・報告」「手書き記入」など

がありますが、電子カルテの導入によって(ほとんどの作業時間が)

削減されることが見える化されることで、理解して戴けるとお思います。

④ 選定や運用管理(セキュリティ対策含む)ができる人材がいない。

特に200床未満の小規模病院の場合、専任のシステム要員などが存在しないことが

多いと思います。

トップ(院長先生や医局)に詳しい先生がおられる場合でも、大学や研修先の病院で

経験されたシステムを基準に検討されることが多く、病院の規模や

機能(病床群など)

に適切なシステムを選定されるかは疑問です。

増してや、現在使っている医事会計システムと同じ業者に依頼するなどは、

正しい選択とは言い難いでしょう。

 =壁を超えるヒント=

院内に電子カルテに詳しいスタッフがいたとしても、現業との並行業務は厳しいと思います。

又は、そのような人材を雇用する事も選択肢としてはありますが、システムの選定や導入が

完了した後の業務を明確にしておくことが重要です。

私が提案するベストな方法は、信頼できる中立的な(どのベンダーとも繋がりのな)

コンサルタントに、必要な時期に必要な業務を委託する事です。

掛かる費用についてもピンキリですので、充分な検討が必要ですが、電子カルテを

導入・運用していくには、数千万円の初期投資と毎月50万円前後の利用料が

発生するわけですので、

適正なコンサルタントに依頼すれば、委託する価値はあります。

現在、そのようなコンサルティング会社や個人はそれほど多くはありませんが、

ネットで調べる事も選択肢だと思います。

以上、電子カルテの選択・導入・運用を進めていくにあたっての壁と、

それを乗り越えるヒントをお話してきましたが、少しは参考にして戴けそうでしょうか。

次は、「現場(看護部長や事務長)が検討・導入を経営陣に働き掛ける場合

(ボトムアップ)」について詳しく説明したうえで「壁」を乗り越えるヒントをご案内したいと思います。

引き続き、宜しくお願いします。