=クラウド型電子カルテシステムにはどんなものがある?=

クラウド型電子カルテと言っても、私の認識では3種類あります。

それぞれについて、簡単に説明していきます。

<<クラウドリフト型>>

別名「なんちゃってクラウド」とも呼ばれます。

従来のオンプレミス型のサーバーをデータセンター(DC)に

置いただけの仕組みです。

従って、クライアント側にソフトウェアをインストールしたり、

アプリケーションンの更新の際は、全ての端末の更新作業を

行わなくてはなりません。

しかも、OSやデータベース、ミドルウェアまで、オンプレミスの

環境そのままなので、定期的に大規模な更新作業と費用が発生します。

中堅の電子カルテベンダー複数社で提供されています。

<<クラウドシフト型>>

従来のオンプレミスで開発・運用していた電子カルテシステムを、

クラウド環境で利用できるように、一から設計・開発されたシステムです。

長年の経験で培ってきた医療業務のノウハウを、電子カルテシステムの

機能として実装しており、併せてクラウド環境での利用を最大限活用できる

システムです。

最大手のベンダーを含めて、10社以上のベンダーで提供されています。

<<クラウドネイティブ型>>

クラウド環境を前提としてゼロから設計されており、サービス指向アーキテクチャ

(SOA)やマイクロサービスアーキテクチャを採用し、

スケーラビリティや可用性を向上させることが可能です。

各機能が独立したサービスとして分離されているため、更新や修正が

柔軟に行えます。

現在、純粋にクラウドネイティブな電子カルテを開発・提供している

ベンダーは1社と言われていますが、更なる業務ノウハウ(機能)

の向上が望まれます。

では、現時点で殿タイプのクラウド型電子カルテを選択すべきかについて考えてみます。

電子カルテに求められているのは業務ソフトウェアであり、先進のアーキテクチャーも

重要ですが、先ずは業務ノウハウに精通したアプリケーションであることが、更に重要です。

医師を含めたスタッフの負担を軽減し、患者様のQOLを向上させるためには、現在の病院に

存在している「課題や困り事」を解決できる電子カルテシステムが必要です。

将来的には、ほとんどのベンダーがクラウドネイティブ型の電子カルテに移行するとは

思いますが、国が推進している「医療DX2030」に適応していくのであれば、

当面はクラウドシフト型の電子カルテシステムが妥当ではないかと考えます。

次回は、クラウド型電子カルテを選定するための手順と注意点について、

考えてみます。