先日のブログでも書きましたが、200床未満の病院でも、電子カルテの導入率が59.0%となり、
導入していない病院がマイノリティーになってしまいました。(令和5年度の厚生労働省の調査)
「医療DX令和ビジョン2030」に基づくとしたら200床未満でも、電子カルテを導入していない
41.0%(2,135)の病院では、2030年までに導入することが必須(?)となっています。
今のところ、導入できなかった病院への罰則規定などは聞こえていませんが、「電子カルテ情報共有
サービス」に参画できないことによるデメリット(患者サービスの低下や保険点数の削減など)によって
経営的なダメージは大きいと思います。
このような医療業界を取り巻く環境の中で、何らかの強い信念を持って「電子カルテは絶対に
導入しない」と、考えておられる病院以外は、今後も安定した医療サービスを提供していく為に
電子カルテを導入しようと考えておられるに違いありません。
では、電子カルテの検討を開始するにあたって、どのようなパターンがあるのか。
中小病院の場合、私の経験的には大きく分けて以下の2つのパターンがありました。
1.院長先生を含む経営陣が率先して検討・導入を進める場合(トップダウン)
2.現場(看護部長や事務長)が検討・導入を経営陣に働き掛ける場合(ボトムアップ)
いずれの場合にも、適正に導入・稼働・運用していくまでに、乗り越えなくてはならない
壁が存在し、推進の責任者(多くの場合、院長や事務長など)にはジレンマが
生じます。
それぞれのジレンマ(壁)の代表的なものを挙げてみましょう。
1.トップダウンのジレンマ(現場との壁)
① 今の運用(業務の流れ)を変えたくない現場。
② 電子カルテの操作に不安がある現場。
③ 今の仕事で精一杯(余計な仕事は増やさないで)という現場。
④ 選定や運用管理(セキュリティ対策含む)ができる人材がいない。
などなど
2.ボトムアップのジレンマ(経営陣との壁)
① 予算を確保してくれない。
② 危機感がない。(コロナ前に戻れば)
③ 導入する理由がない(困っていないと思い込んでいる)。
④ 今じゃなくても良いという「何もしない」理論
などなど
特に、院長先生や理事長に検討・導入を任されている事務長さんはこのような
ジレンマによって大きなストレスを抱えることになります。
次回は、ジレンマの詳細と解決方法(になるかもしれない)を考えましょう。