最後に、経営陣を説得する(その気にさせる)最も厄介な壁について、様々なケースが

あるとは思いますが、お話ししたいと思います。

④ 予算を確保してくれない。

電子カルテを導入して運用していく為には、病院の規模(病床数や職員数)や病床群(急性期、

回復期リハ、療養、精神など)によってその費用はかなりの幅があります。

仮に、100床の一般急性期病院の場合を考えると、初期費用で3,000万円~7,000万円、

保守量と利用料(クラウドの場合)で、月額30万円~80万円程度が必要になります。

また、ランサムウェア対策などを考慮した場合、ネットワークの再構築も必要になります。

診療報酬が伸びない状況で、このような投資は厳しいという判断になるかもしれません。

=壁を超えるヒント=

では、仮に初期補用5,000万円、月額利用料・保守料50万円のシステムを導入する場合を

考えてみます。

先ず初期費用については、一括で支払える場合を除いて銀行からの借り入れか、リース契約かを

検討する必要があります。

税務対策や銀行の金利などを考慮して、どちらが有利かを決めていく事になります。

5年リースの場合ですと、料率は平均して2%(1.9%~2.1%)とした場合、利用料と

併せて月額150万円の支払いが生じます。(全て税抜き)

経営陣に対しては、地域で生き残っていく(増患)為の投資であることや、業務全体の

効率化による人件費などの削減効果が見込めることを、根気よく説得する必要があります。

また、「電子カルテ情報共有サービスに係る補助金」「IT導入補助金」などの補助金を

利用する事も有効です。

特に東京都の200床未満の病院であれば、「病院診療情報デジタル推進事業補助金」が

申請でき、最大で初期費用の1/2の補助金が支給されます。

地域ごとの補助金を調査する事も大事です。

更には、人材(医師や看護師など)を確保して離職させないためにも、電子カルテなどの

医療DXの整備は重要な要素になってきています。

人材確保の為に紹介会社に支払っている費用を削減する(可能性が高い)事も、

経営陣に対する説得材料になるのではないでしょうか。

以上のように、ボトムアップで医療DXを進めていく事は、トップダウンに比べて非常に壁が

高く時間もかかります。

それでも、スタッフの皆さんが本来の業務に専念できて、患者さんを笑顔にする選ばれる

病院になるよう、希望を持って進めて戴きたいと願っています。

ご意見(賛成・反対)やご相談がありましたら、「お問い合わせ」までご連絡ください。

EXSEEDSも、皆様のお力になれるよう寄り添っていきたいと思っておりますので、

これからも宜しくお願いします。