さて、残りの項目に関して説明していこうと思います。

② 導入する理由がない。(困っていないと思い込んでいる)

経営陣が、「現場は困っていない、と思い込んでいる。」というより、気付いていない場合が多く感じます。

長年多くの医療機関とお付き合いをしてきて、何も困っていないという現場(部門)に出会ったことがありません。

その場合の多くは、困り事がそれぞれの部門内で「愚痴」として溜まっていくだけであったり、「他の部署が

ちゃんとしていないからしわ寄せがくる」という不満で終わっている場合が多いように見うけます。

つまり、各部門の困り事や課題が病院全体として顕在化(見える化)できていないため、経営陣と

共有できていないのです。

=壁を超えるヒント=

このような場合の最も有効な手段は、過去のブログ(「医療DXツールの導入効果の測定」や

「医療DXツールの選定プロセス」)でも述べてきましたが、病院全体(全ての部門)の

課題・困り事調査を行う事です。

その調査結果を部門ごとに纏めて、病院全体として共有(見える化)します。

経営陣と結果を共有(見える化)することも重要ですが、それぞれの部門間で

共有する事によって解決する課題・困り事も多くあります。

できればその調査の際に、課題や困り事が発生した場合、対応するための時間と

頻度を測定しておくと良いでしょう。

医療DXツールを導入したら、どれほどの(無駄な)時間が削減されて、効率的に

本来の業務に専念できるかが定量的に提示できます。

③ 今じゃなくても良いという「何もしない」理論

経営陣の中に、強烈な反対論者がいる訳では無い(必要なことは判っている)けれど、

来年にはもっと良いシステムが安く導入できるのではないか、という緩い総意によって、

何年も経過している。(ような理事会は少なくありません。)

「医療DX令和ビジョン2030」という医療界の流れや、診療報酬改定におけるDX加算の

追加など、対策しなければいけないという意識は持っており、毎回の理事会などで

議題には挙がるが具体的な議論にまではいかないという、非常に厄介な状況です。

逆に経営陣に強烈な反対論者がおられる場合、反対される理由が明確なので、その点を

明確に丁寧に説得していけば、前に進む可能性は大いにあります。

=壁を超えるヒント=

2022年以降、2024年6月の診療報酬改定において、医療DX関連の加算が

着実の増えてきています。

例えば、医療DX推進体制準備加算、電子処方箋など、電子カルテを導入していなければ

対応(請求)できない保険点数が増えてきています。

厚生労働省は、2030年までに電子カルテをすべての医療機関に導入する(させる)ことと

しており、電子カルテ情報共有サービスへの参画が必須事項となっています。

また、新たな地域医療構想では、医療機関同士(急性期~回復期リハ~医院)や介護との

連携の輪の中にいることが、病院が継続していく為には重要であり、デジタルによる情報の連携と

共有が必要です。

このような環境の中で「何もしない」という事が、病院が健全に存続していく為には大きな問題に

なるだけでなく、病院を信頼して受診されている地域の患者さんに対して不誠実であると

言わざるを得ないでしょう。

早く決断して行動することが、生き残るために必須であることを説得し続けることが重要です。

次回は、難攻不落の壁についてお話ししようと思います。

ご意見(賛成・反対)やご相談がありましたら、「お問い合わせ」までご連絡ください。